Bar「GODDESS」

東京都足立区西新井の焼酎バー　[2010年]

比較的短時間でも楽しく過ごせるような店舗とするため、オーナー様と一緒に様々な店を研究しました。類似店舗だけでなく、業務用キッチン、家具店などいろいろ見ながらオーナー様と一緒に取り組みました。店を訪れるお客様を意識した設計も非常に大事なのですが、それと同じぐらい大事なのは実際に切り盛りするオーナー様の考え方やスタイルにフィットした設計でなくてはならないと考えています。中でも小型の店舗の場合は店主の体格や服のスタイルも意識します。体や服装の趣味にフィットした雰囲気になるよう心がけます。店を自然に着ているような感じでないと、お客様が「時間」を安心して預けられないでしょう？ですので、店主の体格や動きからも想像を広げるようにしています。

通常では使わないようなカウンターの色ではありますが、「照明」と「店内の壁の色」、「モニターの光」が組み合わさったときに、華やかな雰囲気が演出されるよう細心の注意を払って設計しました。一人で落ち着いた飲み方もできるし、店内で盛り上がって飲めるようにも配慮し、日ごと、時間帯ごとに異なる客層に応じた空間操作ができるような設計としました。

店内のプランについては店主の要望があったのですが、それとは異なるプランも御提案しました。店主はカウンター席の外側にソファ席を作ろうと考えられていましたが、理由を丁寧にご説明し、経営サイドの導線が最小限となるようにし、小回りのきいたコントロールができる提案を受け入れて頂きました。ここで最も意識したのは、「密度感」。

密度感によってお店の活気や親密さがコントロールできることに気づいたからです。店主の望んでいた空気感や雰囲気は、高密度でわいわいと楽しくできるような活気のある空間だったので、お客様同士の距離が親密になるよう、あえてきつすぎるぐらいに狭く設定しました。これも様々な店をリサーチして、実際に寸法をサンプリングして決めました。奥の客席に行くのにも、声を掛け合って行かないと通れないほどの狭さに設定しました。これは狙い通りになりました。

中央のモニターの下にある、照明コントローラーで照度を自由にコントロールし、お客様のカラオケに併せて盛り上げたりします。焼酎バーはやり方によっては回転率を高くすることができますし、お客様もそれを分かって短時間でも思い切り楽しめるということをご理解頂ければ、双方向にとって良い関係が出来るのではないかと思います。会社仲間や友達と夜も忘れて飲むのも楽しいものですが、こうした短時間でも充分に楽しめるというコンセプトは結構面白いと思います。