一人暮らしを楽しむ平屋 「愛しい家」

お施主様の実家が地主なため、使っていない土地が沢山あったのです。 アパートで一人暮らしをされていたのですが、土地もあるし平屋でも建てて住もうか、 ということになったそうです。

  • アパートと平屋は何が違うのか?
  • 平屋だと何が出来るのか?

これが課題でした。

愛しい家 (5)

 床がフラットという意味では一般的なアパートも平屋形式も同じです。 しかし隣家や上下に他人の家がつながっていない点が異なります。 上方にあるのは空だけということは、部屋と空の接し方が異なるということです。 この着眼点が案の核になっています。

大きな部屋には大きな屋根を、小さな部屋には小さな屋根を掛けました。 そして各部屋にトップライトを入れました。 愛しい家 (8) ガラスで出来た「ガラス瓦」をトップライトとして採用しました。

愛しい家 (3)

愛しい家 (7)

将来的に結婚することも視野に入れて、 同じパターンで増築できるスペースを残した配置計画にしました。愛しい家 (6)

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愛しい家 (4)昼間は仕事があるので家には誰もいません。また、住宅密集地に建つことから、防犯性やプライバシーを守るため閉ざした住宅としています。 しかし、室内はトップライトの光で充たされています。 お休みの日は人目も気にせず、明るい空間の中でのんびりと過ごせるでしょう。

愛しい家 (2) 裏側から見たところ

愛しい家 (1) 屋根と屋根の間に雨樋を仕込んで、裏から落とします。

規模が小さすぎると、一般的な坪単価は単純には適用しにくいです。 逆に言えば普通では使わないような、品質の高い木材や石などの素材を使えます。 面積が少ないと高級素材を使っても、いくらもしないからです。

土地がある場合は、一人暮らし用の平屋というのは選択肢としてアリかもしれません。 誰にも気兼ねせず、悠々自適というものです。

一人暮らしに限らず、こういう小規模な建物にはいろいろな使い方が考えられます。

  • 防音の効いた音楽室、オーディオルーム。
  • 田舎に建てれば、週末のレジャーの拠点として。
  • 落ち着いた時間を過ごすための書斎として。家族に気を使わず友人を呼べます。

戦後の最小限住宅に始まり、キャンピングカーでの暮らしなど、小さな家、小さく住まうという概念はありましたが、近年「ミニマルハウス」など再びブームになりつつあります。戦後は最小限を追求することに意義があったわけですが、価値観やツールが多様化した今、小さな平屋というのは再び開拓できる建築ジャンルの一つかもしれません。