「銭湯」を改修して「倉庫と事務所」に
この建物は上層階が共同住宅ですが、1、2階は数年前まで銭湯でした。
改修して藤掛さんの倉庫と事務所機能の一部が入りました。
事務スペース
皆、慌ただしく働いています。
ここは1階ですので、コンクリートの床上の断熱をしっかり入れました。
1階作業スペース
引っ越し直後なので、業務と片付けが並行して走っている状態です。
1階倉庫
中央のラックはスライド式です。
限られたスペースに効率よく収納するため、ラックがたくさん設置されています。
食堂とキッチン
昼過ぎになると、皆バラバラの時間に来て食事を取ります。お店に出ている人もいれば、裏方で作業する場合もあり、日によってタイミングが変わります。
たまには自分達で作れるようにと、ちゃんとしたキッチンも入れました。
作業スペース
左下の機械は「検反機」
生地を巻いたロールを設置して、生地の長さを測る機械です。
素人的には、元の商品の長さから売上長さを引けば良いのでは?と思いましたが、どうもそういうことではないみたいです。
(何回聞いてもわかりませんでした。)
建築の世界では「図面に書いてあるからそのとおり作る」ということはしなくて、ちゃんと実測し直してから施工するのですが、そのような考え方や手順があるのかもしれません。
染色作業場
染色といえば巨大な釜に入れて染め上げるようなイメージを持っていましたが、それは大量生産する場合です。
藤掛さんでは小ロットの染色にもきめ細かく対応できるよう、自社内に染色部があります。
例えばコスプレではキャラクターの肌色に近づけるためにお化粧を塗ると、服に色が付いてしまうという問題がありました。そこでタイツを染めれば擬似的に肌の色を変えられる、というわけです。
他にも細かな指定とともに、染色の依頼注文が入ってきます。
生地やアクセサリーの売りっぱなしではなく、お客様の想像した衣装を実現するための様々なバックアップサービスがあるのですね。
さて、、、この部屋はもともと銭湯のお湯を供給する「機械室」でした。
改修の場合、排水位置や壁の開口部が決まっているので、それらを前提として染色場のレイアウトを考えなければなりません。
使用する染料は基本的に無臭なのですが、住宅街なので万が一に備えて「オゾン脱臭機」を組み込めるように配慮してあります。
※環境に配慮した染料を使用しています。
染色のプロセス
布を煮立った鍋に入れ、調合した染料で色を移していきます。
鍋を覗くと少しずつお湯が透明になっていきます。染料が少しずつ布に移っているわけです。それを洗濯機で洗って乾燥させ、色味(いろみ)を確認します。ご要望の色に近づくまで何度も調整しながら色を重ねていきます。
改修と積載荷重の関係
この改修では積載荷重の取り扱いが課題でした。
改修では積載荷重の問題が絶えずついてまわります。
積載荷重とは床の上に載せられる重さのことです。
建物を設計する際に、用途に応じた荷重設定で構造計算が行われるため、改修後に荷重オーバーしていると平常時も地震時も危険側の状態となります。そうした事態を避けるため、本物件では棚に積まれる予定の布を何十本となく荷重計測し、運用上どのぐらいの荷重になるか厳密に計算しました。
布といえども、ロール単位になると相当の重量になることがわかったので、銭湯の洗い場のコンクリートをはつり(削り)、倉庫の増加分の重量と相殺されるように設計しました。(これで改修後も危険側にならず、設計当初の荷重設定を維持できたことになります。)
とある話では、改修してスーパーをつくろうとして、廃業したボーリング場を買い取ったところ、積載荷重の想定がスーパーとボーリング場では全く異なることがわかり、結局全部を取り壊さざるを得なくなった、、、なんていう話もあるのです。そのぐらい重要な意味を持ちます。
※スーパーの方が積載荷重設定が重いです。
特に企業様で、引っ越しをお考えの方はご注意ください。迂闊に決断すると、経費が想定外にかかるだけでなく、最悪は頓挫することもあり得ます。よくわからない場合は弊社が相談に乗りますので、ご連絡ください。
今後は日暮里において本社、駅前本店、倉庫、そして姉妹店のフリカケの4箇所での同時展開となります。ますます活躍してほしいですね!
PHOTO:Rio Kurosawa
藤掛駅前店舗の記事です。
オープンに合わせて企画された告知イベントの様子です。
藤掛オフィシャル・ホームページ