木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2025年版)が出ました。
通称「グレー本」と言われる、木造住宅設計における必携書籍です。
2025年4月の法改正などを盛り込み、8年ぶりの改定です。
講習会も終え、詳細に読み込みを行い、公開されている質疑サイトに質疑33個を送りました。
グレー本自体が巨大な規定の塊のようなものだから、規定とか取り扱いに関する質疑ばかり。
さて今回の2025年版の中で、困った改定がある。
それは、、、釘ピッチの詳細計算において、へりあき、縁端距離が「釘の胴径」から決まるようになったこと。
2017年版は面材厚から決まっていたから、釘の種類を変えても釘配列諸定数は変わらなかった。
N50の胴径は2.75mm
この径の5倍以上である13.75mmを確保することになる。
正確には、例えば垂木であればへりあき、縁端距離ともに10mm以上、かつ接合具径×5以上。となっている。
ということは面材の継ぎ目となる垂木は縁端距離13.75mm、へりあき13.75mm それが左右対称に合板が載ってくるので合計55mmとなり、見付幅が45幅の垂木が詳細計算で使えなくなってしまった。(ということになるはず、、、)
となれば45*60の垂木を平使いすることが考えられる。
しかし梁せいが減るからスパンを飛ばせない。
念の為、プレカットのテクノウッドワークスさんに聞いてみたら、垂木道60mmを作ることは標準的に可能だそう。
しかし60mm幅の材はほとんど流通していない。
(木杭用に60角とかは見つかったけど)
全国でニーズがあれば、そういう規格を作るかもしれないが、当面は特注になってしまうとのこと。
ちなみにN65を使うと下地の材幅は70mm以上必要になってしまうから、N65を使うことは無さそう。
うーん、、、困った。
QandAの回答を待たないといけないけど、このままだと屋根の詳細計算の使い勝手が悪くなってしまう。
「カナダ林産業審議会」さんが取得した木質構造評定があって、2×4の38mm幅でも詳細計算を使えるようにしているけど、今後どうなるのか?
この改定は「軸材の釘列に沿って割裂しやすい」という理由で行われたと記載されているけど、同時に「実験等により面材端部の割れや軸材が釘列に沿って割裂せず、釘頭が面材に保持されたまま軸組から釘が引き抜けることが確認されれば、この限りでない。」とも記載されている。
民間の設計者でこの試験する人はいるかな?あるいは試験できる企業があったとして、その知見を公に使えるようにする、なんてことはまず無いと思う。
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ちなみに、P194以降に釘配列諸定数の一覧があるが、計算してみると、へりあき(面材の端部から釘の中心までの距離)が10mm程度で設定した場合の値のようだ。つまりそもそもが、2025年版の「接合具径の5倍」という規定を満たしていない。計算例も全部この値を基礎にしているから、どの値も2025年版基準から外れた例示となっていることになる。
それだけじゃない。
例えば釘の@75の仕様が載っているが、よく見ると910幅を12分割する図となっていて、N50を使用した場合でも「へりあき」が13.75mmだから@73.5mm<75mmとなり規定を満たしていない。11分割にするってことかしら?(とすると図示の12分割は、、、?)
ちなみにへりあき10mmと15mmでは、換算壁倍率は0.1倍程度変わる。
12分割(@73.5)を11分割(@80)に変えると0.2倍程度変わる。
ちょっとした設定の差が積み重なると無視できない差が出てくる。
こういうところを審査員が気になって、突っ込まれ始めると、想定外の時間を取られてしまう。
これを避けたい。
その他、良かったのは耐力壁の詳細計算でMDFやパーティクルボードが使えるようになったこと。これは良いかも。
今までも面材を開発している技術者の方から面材と釘の試験データをいただいて、いつでも必要とあらば、詳細計算ができるよう準備していたのだけど、審査に出されている一般的な内容ではないから使うことにためらいがあった。でもこれで晴れて申請に出せる。
壁の詳細計算では今までは合板一択で厚みが12mm以上でなければならなかったのだけど、9mm厚で詳細計算ができることになる。
下地や収まりを部分的に変えなくても良くなる。
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あと、質疑にも出したけど、もしかすると野地板にMDF(ハイベストウッド)やパーティクルボード(NovopanSTPⅡ)を使えるかもしれない。(だめと書いてないし、字面通りに解釈するとMDF等を使えるように読める)
ちなみに、仕様規定の屋根ではMDF等は使えない。
野地板裏で通気を取ると、屋根板金裏(野地板上面)からの透湿が気になるからMDF等が使えると良さそう。
こちらもQandA次第ですね。

