JR西荻窪駅の南口商店街に建つ4階建てのテナントビルです。
商店街という立地を踏まえた上で、窓の構成によって活気や楽しさを生み出す建築を目指しました。
一般的なテナントビルの横長窓は、均質な光を取り込んだり、街への景色を大きくとることができますが、内外の関係が並行になるため「静的な関係」になります。景色の見え方の変化が乏しいからです。
そこで視点の移動によって、内外の関係が絶えず変化しながら紐づくような「動的な関係」を生み出す窓の構成を考えました。前面道路を歩くと内部の様子が絶えず変化しながら見えます。部屋の中でも同様で、歩くと街の見え方がダイナミックに変化します。
※ちなみにBLINKというのは「チカチカ瞬く」という意味です。
窓は螺旋状に、少しずつ大きくなりながら上に展開するような構成となりました。
※写真はクリックすると拡大します。
テナントビルとして計画する場合は、中の店舗デザインまで手掛けないことの方が多いと思います。計画段階では、入居するテナントが未定であることが多いです。
幸い計画の途中段階で、1階と4階の内装設計もご依頼頂くことができ、建物と内装の関係を考慮して設計を進めることができました。
集合看板やBLINKのロゴもデザインしました。窓の雰囲気に合わせた字体になっています。
1階のBISTRO EIGHT(ビストロエイト)のお店周りです。 開店前の打ち合わせ中です。
別稿でBISTRO EIGHTの記事を掲載しますが、内観はこんな感じです。
こちらは4階のHIRO Flower Studioの店舗内装です。
建物の道路を隔てた向かいに高架橋があります。ちょうど総武線が通過しています。 中央線、総武線、東西線が走り抜ける視線の高さに来るのですが、電車の中からもよく見えます。 ちなみにこの部屋はプリザーブドフラワーや生花、ソープカービングといったフラワーアートの教室です。商品を作って販売もしています。
※ソープカービング:香りのいい石鹸を花の形にくり抜き、他の花と一緒にあしらい、見た目だけでなく、香りも楽しむ。
この建物の窓枠は幅が7cmのタモ材でできています。
すこし移動するだけで外の見え方がダイナミックに変わっていきます。個々の窓サイズは押さえてあり、ブラインドがなくても人目が気になりません。居心地がちょうどよいバランスになっています。
こちらの部屋は事務所スペースになっていて、所狭しと製作道具やお花が保管されています。 不燃のタモ突板パネルでミニキッチンやトイレといった水廻りを構成しています。空調は天井裏に仕込んだダクト空調にしています。
4階のオーナー様に、「ここで作業していると時間を忘れて没頭してしまって、気づいたら夕方になっていることもよくある」というお話を頂けたのが一番うれしかったです。
HIRO Flower StudioのオフィシャルHPはこちらです。
Photo : Rio Kurosawa
BLINK データシート
建築主:株式会社 バンブーフィールド 代表取締役社長 佐々野泰将
住居表示:東京都杉並区西荻南3-16-8
敷地面積:65.60m2
用途地域:近隣商業地域
防火指定:防火地域
耐火仕様:耐火建築物
用途:店舗(物販、飲食)
合計建築面積:53.69m2
合計延面積:210.35m2
4階店舗面積:38.263m2
3階店舗面積:38.263m2
2階店舗面積:38.263m2
1階店舗面積:36.03m2
BLINKの建築本体の設計
設計監理:株式会社 VIT 担当:黒澤亮、中田哲寛
構造設計:株式会社 VIT 担当:黒澤亮、小薗照美
設備設計:株式会社 山崎設備設計 担当:山崎純悟、電気:山岸香央理、機械:関戸美紀
施工:有限会社 大原工務所 担当:大原彰
電気設備担当:株式会社 トップギア 安齋謙一、飯沼秀敏
機械設備担当:有限会社 北村綜合設備 北村豪
4階:HIRO Flower Studioの店舗内装設計
1階:BISTRO EIGHTの店舗内装設計
設計監理:株式会社 VIT 担当:黒澤亮、中田哲寛
施工:株式会社 ビルドスタイル 担当:柏原等
BISTRO EIGHTの記事はこちらです。