新潟県上越市 除雪機販売ショールーム計画

概要

除雪機や耕耘機を展示、販売する会社のショールーム、及び事務所の建築計画です。
その他に機械のメンテナンス用の工房や倉庫、実演スペースなどが求められました。
豪雪地だけに、除雪機のニーズのある冬場でも営業を行います。

コンセプト

雪と展示空間にポジティブな関係性を作れるか?という問いから始まり、豪雪地における建築の自由度や開放性について考えました。

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私達が注目したのは「雁木」です。

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雁木は豪雪地ならではの工夫で、冬場の雪が降る日でも雨の日でも商店街を練り歩けます。
古くから存在する庇の働きや意味を拡張させて、柔軟性の高い商業建築になることを意図しました

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オレンジ色が計画建物で、敷地の奥には店主の自宅や倉庫、畑などがあります。

プランについて

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 庇を張り巡らせることによって、全ての場所同士がシームレスにつながります。

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冬は除雪作業から完全に開放され、敷地内を自由に歩き回れるようになります。

建物の使い方について

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庇は、ショールームや建物の使い方においても欠かすことのできない意味を持っています。
雪が積もると、もう1つのショールーム空間が出現し、多様な展示方法が可能になります。商品数や種類、売り出し方に応じて、商品の配列や密度を変えます。

豪雪であることをポジティブな意味に変えます。

人を集める為の仕掛けも企画しやすくなります。
雪や雨に関係なく、外部でフリーマーケットやイベントを開催できる上に、例えばライトを照らして、雪に色付けを行うなどの演出も可能です。

設備について

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地下から地下水熱を循環パイプで取りだし、プール状に水のたまった屋根に汲み上げて消雪するシステムです。
深さ数cmのプールにすると、雪が積もらなくなります。
一日あたり40~50センチの雪が積もっても水が動いていれば凍らない、という性質を利用しています。
完全耐雪型に比べ構造体にかかる初期コストを大幅に下げることが可能です。
また、夏期の日射熱を低減したり、冷房利用もできます。

積雪荷重を低減することによって、構造体が極めてシャープになり、雪国特有の冬場の重苦しい空気感からの開放を意図しています。

※万が一ポンプが故障しても1mの積雪までは構造に問題がないように設計します。
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 屋根全面が深さ数センチのプールとなっています。
防水は最も信頼性の高いステンレスシーム溶接防水です。
「すがもり」や漏水の心配はありません。

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精米機や自販機、無人野菜置き場を利用しに来た人達が気軽に談話できるようなスペースを設けます。夜間であっても精米の待ち時間にライトアップされた店内の商品を眺めたり、ショールーム全体を見渡せます。

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事務所部分は奥に配置しました。2面採光や通風が確保できるようになっています。
気候が良い時はエアコンに頼らずに気持ちよく仕事をすることができます。

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商品の搬入は東側の通路を通って裏手に回りこみます。
農耕機や除雪機だけでなく、グッズも一括して管理できるようになります。

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実演スペースです。
半屋外の空間で実演を取り囲みつつ、お茶を出来るスペースも用意しました。

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整備・組立スペースに修理に来た人が待ち時間にショールーム内に入りやすいように、グッズ関係のスペースを隣接させています。

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受付スペースです。左の壁はエントランス通路であると同時に、ホームページ用の写真を撮影する所です。

 データシート

 ショールーム : 52.37㎡(46坪)
事務室 : 72.87㎡(22坪)
整備組立スペース :39.75㎡(12坪)
倉庫 :19.87㎡(6坪)
合計 :284.87㎡(86坪)
庇下、実演スペースを含む延べ床面積:608.19㎡(183.6坪)