埼玉県坂戸市の段ボール2次加工工場 「Luminous」

埼玉県坂戸市の段ボール2次加工工場 [2014年]

埼玉県の工場団地群内に延床約3,800m2の鉄骨造2階建ての段ボール2次加工工場です。
もともと近隣に旧工場が有り、そこを増改築を繰り返して徐々に新築に移行していくという話からスタートしましたが、計画の途中で近くにちょうど良い大きさの土地が空いたので、その敷地での新築計画となりました。

原材料と製品の搬出入における空間の合理化をはかり、高効率のワークフローとなる構成にしました。作業スペースに光がまんべんなくふりそそぐ、明るく健康的な工場を目指しました。
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段ボールそのものを製造するのではなく、段ボールの原板に対して切り込みや打ち抜き、印刷などの2次加工を行います。箱を組み立てる直前の状態までの加工です。
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水平に走る2本のラインは「ガラリ」です。
雨は入らないけど、空気と少しの光を透過するアルミサッシです。

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右上の空隙となっている部分はバルコニーで、喫煙スペースになっています。

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左奥に見える塔のような建物は「サイクロン棟
ダンボールの加工に伴って出る紙片を、大きなダクトを通じてサイクロン棟に搬送します。建屋内部の巨大なバスケットに紙片を集め、トラックで搬出します。こうした紙片はリサイクルされます。

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工場裏手のインク処理、洗浄スペース。

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工場の空間構成のポイントとなるスペースです。
旧工場では搬入スペースと搬出スペースが分かれていました。
そのため、朝は搬出スペースはがらがらに空いており、逆に夕方になると搬入スペースはがらがら、という状態でした。

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既存工場内における空間の使い方の不均衡を見直し搬入スペースと搬出スペースを一体化するというアイディアに達しました。結果的に原板と出荷待ち製品で絶えず満たされた空間にすることができました。

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直線奥行き70m、幅25mの大空間です。変則的なトラスで大空間のスパンを飛ばしています。下弦材をH鋼とし、弱軸使いすることで、下端に蛍光灯を組み込んでいます。トップライト同様、ライン状に光が浮かび上がります。

工場内はすべて表層改良を行い、工場内の機械をどのように配置換えしても設置可能な設計です。Luminous (28)

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奥側の壁上部の排煙窓を全開した状態。

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2階の印判置き場。
段ボールの印判や打ち抜き型が大量にストックされ、このスペースの両端にある自動搬送装置から各工程の場所に持っていきます。

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2階から全長70mの作業工程を見渡すことが出来ます。
トップライトからふんわりと、筋状に床に光が落ちています。

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2階通路部分。右手が事務所。
左手は工場のスタッフ達が、昼食時に2階に上がってきた際に手を洗うところです。左の通路の奥に食堂があります。

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事務所部分。

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事務所内にある、応接ルーム。

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事務所部分から駐車場を見る。

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食堂。工場のスタッフ30名がここに集まり、食事をしてくつろぎます。シンプルすぎる印象があるかもしれませんが、みんなが集まる場所は、何かと物や絵が飾られ賑やかになっていくものです。それらが活きたインテリアとなるよう、建築側は最小限にとどめておくように心がけています。

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夕方になるとトップライトからの光が夕焼けから夜の青みへと変化していきます。
代わりに工場内の蛍光灯がライン上に浮かび上がってきます。

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Luminous データシート

意匠設計監理:株式会社 VIT / 黒澤
構造設計監理:有限会社 エスフォルム / 大内
機械設備設計監理:ジーエヌ設備計画 / 五木田
電気設備設計監理:タクトコンフォート株式会社 / 田中
施工:株式会社 不二工務店 / 青木

形式:鉄骨造2階建て
敷地面積:5,000m2
1階床面積:2,804.596m2
2階床面積:1,003.200m2
延べ床面積:3,807.796m2

Photo : Ishii Atelier
※1,2枚目は航空写真