アクリル樹脂が硬化する際に発生する熱によって、内部には対流が生まれます。
その流れの中に布を投入すると、布は舞いながら樹脂の中に留まり、やがて固着していきます。
この案では、そうした物理現象そのものを、
空間をつくり出すプロセスとして扱いました。
固着した布の層を芯としてくり抜くことで空間を立ち上げ、
奥へ進むほど布が多く介在し、視界が少しずつ遮られていきます。
形を先に決めるのではなく、
熱や流れによって生じた状態から、空間が立ち上がってくる。
その過程そのものを、建築として捉えようとしています。
大学院1年生のときに応募した空間デザインコンペの佳作案ですが、
温度差や対流といった目に見えない環境のふるまいを、
空間のかたちや体験として読み替える姿勢は、
現在の設計の発想へとつながっています。

