高気密高断熱住宅を手掛けています、と人に言うと何人かに一人の割合で、以下のような反応が返ってきます。
「そんなに気密性を高めたら、息苦しくなるのではないか?」
「窒息してしまうのではないか?」
「気密が高すぎると、匂いが籠もってしまうのではないか?」
と、疑問視する方がいらっしゃいます。(建築関係者であっても)
しかし、「気密」は「換気」をしっかり行うために絶対に必要なのです。
上記の疑問は、「気密はそこそこにとどめておいた方がうまく換気される」というイメージが先行しています。
実際はどうなのか?
実はこれ、私達の身の回りにあるものでも簡単に確認できることなのです。
ストローでジュースを飲みますね?
このストローの途中にハサミで切れ目を入れてみてください。
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ストローにほんの少し切れ目を入れるだけで、ジュースが飲めなくなる。
飲めるかどうか、ぜひご家庭で実験してみてください。(お子様ともぜひご一緒に!)
どんなに吸い込んでも、うまくジュースを飲めないと思います。
例えるなら、
・ジュースは換気したい「部屋」の空気
・吸い込む力が換気扇の動力
・ストローの中が換気経路
に相当します。
家中の気密が低いということは、言ってみれば、換気経路上に無数の穴があるということであり、まさにこのストローと同じことが起きているのです。
家の気密性が低いと、離れた部屋の空気を引っ張ってこれないんですね。
そして、これが「空気が籠もる」ということなんです。
逆に「気密性が高い」ということは「穴の空いていないストロー」と同じですから、空気をきちんと引っ張ってこれる、ということになります。
ちなみに、、、思い切り吸ったらジュースを飲めた方もいらっしゃるかもしれません。これは換気扇を「強」にして吸い込んだら、かろうじて換気される可能性がある、ということを意味しています。当然、機械に大きな負荷をかけるので、うるさくて消費電力が大きくなると推測できますね。
逆に言えば、気密が高ければ最小限の音と消費電力で換気できます。
いかがですか?
気密性を高めるほど、狙った通りの挙動に近づきます。
なんか籠もっているんだよなあ、と感じたら多分、その感覚は正しいです。
換気がうまくいっている家は「建材の匂い」がします。例えば、木をふんだんに使っている家は木の匂いがします。一方で換気がうまくいっていない家は、「ご家庭固有の臭い」がします。簡単にわかる一つの目安です。
もし、お家の換気がうまく行っていないと感じたら、まず最初に、換気装置のフィルターやダクト内のホコリをチェックしてください。ホコリによって圧損が生じている可能性があります。これをきれいに清掃した上で、換気の状態を再確認してみてください。
それでもうまく換気しないよ? という場合はご相談くださいね!