ADVAN|工場内作業スペース「Flowing」

この作業スペースは、建材メーカーADVAN:茨城県坂東市の岩井流通センターの一角に計画されたものです。120,000m2の工場群の中に複数の工場がありますが、そのうちの1つの工場の中で、もう一つの独立した建て屋を作りました。

大量生産・物流・サンプル管理が高度に最適化された工場環境の中で、既存の流れを止めることなく、新しい作業の「流れ」をどう挿入するか?

その問いから、この独立構造の建築は生まれました。□Flowing06この建て屋は全国の設計事務所やゼネコン、一般のお客様に「建材サンプル」を配送する場所です。仕分けから配送までの一連の作業を行います。

工場視察の案内拠点にもなるよう、企業イメージを高めるようなデザインとして、流麗で淀みのない、透明な空間を目指しました。 ■Flowing01

工場内を明るくするため、トップライトを増設しました。既存の屋根の一部を剥がし、半透明のポリカーボネートのスリットをいれました。

床は板状断熱材を仕込み、底冷え対策としました。
出入り口はスタッフの方達が頻繁に出入りするので、「エアカーテン」を設置しました。サンプルを積んだ荷台ごと進入出来ます。
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ポリカーボネートの波板を両面から挟み、空気層によって熱が逃げるのを遅延させます。□Flowing07

何十キロものサンプルを荷台で運ぶので、出入りの際に人と衝突することがないよう、光が透ける素材としました。□Flowing08荷台が衝突しても、せいの高い溝形鋼を使ったのでポリカの波板は破損しません。

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既存の工場の外壁は黄色で塗られていたので、入り口付近の柱は同色にし、内部に行くに従って赤へと変わるグラデーション塗装をしました。
工場本体の柱が緑色だったので、奥に行くに従ってエアカーテン越しに見える柱の色との補色による対比を生みながら、スペースの固有の特徴や奥行き感を際立たせようとしました。

違和感のない「連続性と対比」を強調する色彩計画としました。

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極細の斜め柱のみで支えられた構造体です。この構造パターンの繰り返しによって独特な透明感が生まれます。透明感というのは光が透けるという意味ではなく、背後にある秩序の感覚が透けて見えるという意味です。 

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床材はADVANの取扱品で、傷や摩耗に強い商品を使いました。
雨の日の汚れは多少目立ちますが、逆に通常の日に想定される砂埃が目立ちにくい、ということでこの床材になりました。なめらかに光を反射し、床にも構造体のラインが浮かび上がり、上下方向の奥行きが生まれます。 □Flowing11

工事中から既に効果が現れたのか、竣工前から工場内のサンプル棚は綺麗に新品が入れられ、完璧な配列で置かれました。建築に合わせてインテリアも引きずられるように秩序付いていったような感覚があります。

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夕方に近づくにつれ、柱の色が鮮明になって行灯のような立体が浮かび上がります。□Flowing13

Flowing データシート

竣工年:2014年

鉄骨平屋    :820.29m2 改装面積:97.2m2
意匠設計・監理 :株式会社VIT / 黒澤 (旧・黒澤亮建築設計事務所)
構造設計・監理 :小林建築構造設計室 / 小林
施工      :不二工務店 / 滝沢

Photo:Ishii Atelier
※2,3,9枚目:Rio Kurosawa

ADVANグループ公式サイト
本計画が成立した背景には、建材メーカーADVANという、製造・物流・研究を内包する企業環境があります。大量生産の現場においても「空間の質を問い直す」という企業姿勢が前提となっています。

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