※本稿は、後にVITの設計思想や方法論として整理されていく考え方が、
初めて具体的な形として立ち上がった起点の記録でもあります。
本計画は、大学院を卒業した直後に応募した自然科学館のコンペ案です。
自然科学と工学を往復しながら建築を組み立てていく、設計の方法論が初めて明確になった転換点でもありました。(別稿:「自然科学と工学」を参照ください。)
大学・大学院時代に悶々と模索していたものが、突然霧が晴れたような感覚を覚えた、そんな時期の作品です。表現が拙いですが、作品というよりは、新たな概念が産声を上げた現場に立ち会うようなものだとご容赦ください。
地方の山間部に建てる建物は森林生い茂る大自然の中に建てるので、敷地境界も定かではなく、敷地の輪郭が不定型であることも多いです。
そのような不定型さを乗り越えて、
・どのように環境に建物を配置するのか?
・どうすれば大自然の中で調和を図れるのか?
というテーマが立ちはだかりました。
提案したのは
アメーバのように核となるスペースが有り、
そこから掴みたい方向に無造作に手を伸ばす、
不定形な生き物のような形。
この概念を建築でどうやって形に落とせば良いのか?
要求されているスペースを部屋のブロックとし扱い、数珠つなぎで配置すればよいのではないか?と思い至りました。
すなわち、中心から各部屋を通して、パノラマ状に松之山の風景を取り込む森の活動施設というものを発想しました。(パノラマビュー・プラン)
また、「数珠つなぎモデル」によって、地域参加型でワークショップを開いた際に、公共施設のあり方を議論するツールとなることを想定しました。
地域参加型とはいっても、建築畑でない方同士が集まっても、話は進まないもの。
箱をグニグニ曲げたり、異なるサイズのボリュームをつなげたり、入替えながら、話し合いの共通基盤を作るというアイディアを提示しました。
すなわち、公共建築を考える際に、わかりやすいシンプルなモデルを提示することで、多くの「前提条件や内容」を関係者全員で共有できる、という可能性に気づいたコンペでした。
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