エアコン / クーラーのもう一つの使い方

エアコンが嫌い、という人はほとんどの場合風が当たるとつらい、体が冷えすぎるといった理由が多いです。

そういう方は、頑なに熱帯夜でもクーラーをつけません
あるいは、エアコンでしっかり冷やしてからOFFにして就寝、、、しかし、明け方に汗だくで目を覚ます、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

一方で、病院では空調が効いていますが、入院患者さんがクーラーによって冷えすぎたり、風邪をひくということは無いわけです。この差は何からくるのでしょうか?

実はクーラーによって体が冷えすぎてしまうのは、家の断熱性能が低いことが原因です。

ちなみに、人間の体感温度は「周囲の表面温度」と「空気の温度」の平均値です。(※1)
ですから、例えば25℃がちょうどいいと感じる人の場合、表面温度(放射温度)が30℃であれば、エアコンは20℃設定にしないといけません。

すると感覚的には平均値の25℃になりますが、冷風は20℃なので体が冷えすぎてしまう、というわけです。20℃を実現するために、しゃかりきに運転するので実際にはもっと低い温度が出ます。

、、、これが体調を崩す原因です。いわゆる冷房病ですね。
断熱性能が低い家では、往々にしてこういう状況が生まれます。(※2)

、、、かといって家をすぐに建て替えたり、断熱改修するわけにもいかない。。。
という方のために、発想を変えたクーラーの使い方をご紹介します。
クーラーが嫌いな方でも、冷房病になりにくく、暑い夏の夜を乗り切るための使い方です。


クーラーは「空気を冷やすもの」という認識が一般的ですが、
空気を温めさせない」といった使い方も可能です。

どういうことか?

いわゆる熱中症は、室温が気づかないうちに30度を大きく超えていた、といった状況で引き起こされますが、エアコンには温度センサーがあるのです。
これをうまく使います。

例えば29℃設定の場合、29℃を超えると自動的に29℃以下にしようと動きます。
、、、かといって30℃を超えることもない、というのがミソです。
これなら冷房病になったり、風邪をひくようなことはありませんね。

私の場合、夏季は室温28℃、弱風の設定で寝ています。
弱風ですから音も静かです。
室温が一旦28℃まで下がったら止まり、室温が28℃を超えると、思い出したように運転をはじめます。

この設定温度は個人によって、あるいは大人か子供かによっても異なるでしょう。
(直風はやはり気になりますから、吹出口からある程度離した位置に直風を遮る工夫をすれば、柔らかく室温を保てます。近すぎると冷気が回りませんのでご注意!)

ぜひ、寝るときの最適な温度を探ってみてください。
冷えすぎを嫌う方にも受け入れやすい方法かな、と思います。
起きているときに快適な温度より、少しだけ高めに設定するのがコツです。(※3)


、、、ということは冬は逆の使い方ができるということですね。
すなわち室内を「冷え過ぎさせない」という使い方です。

私の場合、16℃設定にしておいて、朝起きた時、室内が16℃以下にならないようにしています。(断熱性能の低い賃貸なので、、、)


近年、新築や断熱改修を検討されている方は、家の温熱性能のことや、エアコンに興味が湧いたという方もいらっしゃると思います。

しかし、どんなエアコンであれ、空調設備であれ、いちばん大事なのは断熱性能なのです。家の性能がしっかりしていれば、6畳用壁掛けエアコン1台でも家の隅々まで快適な温度にできます。

家の室内表面温度が安定しますから、エアコンも極端な温度設定にしなくて良いんです。


※1:厳密な体感温度は、室温と平均放射温度だけでなく、相対湿度、気流、着衣量、活動量など、さまざまな要素が組み合わさって決まります。この公式はあくまで簡易的な指標です。

※2:逆に冬の場合、表面温度(放射温度が10℃)だとして、20℃の体感温度にしたい場合は、30℃で暖房しなければなりません。これが喉を痛める原因になります。だから加湿器が必要になって、、、悪循環が進みます。いずれにしても断熱性能の不足によって、表面温度が高すぎたり、低すぎるためにエアコンに無理な運転をさせていることになります。

※3:就寝時は活動量が減って人体発熱量が下がるので、起きているときより高めの温度設定のほうがバランスがとれます。