「地球沸騰化の時代」と、これからの家づくり(1)

2023年7月28日付けのTBS NEWS DIGより引用

なんとも過激な表現ですね。
「地球温暖化」が更に進んで、ついに「地球沸騰化」という時代に突入したと。
2023年7月は、世界の平均気温が観測史上最も高くなる見通しとのことです。

このまま行くと2015年にパリ協定で示された「産業革命前からの温度上昇を2℃未満に保つ」という目標も崩れてしまうかもしれません。

現にWMO(世界気象機関)の2023年5月17日の発表によれば、

2023年から2027年までの地球の地表近くの年間平均気温は、少なくとも1年間、産業革命前の水準より1.5℃ 以上高くなる可能性が66% あります。今後5年間の少なくとも1年、および 5年間全体で、観測史上最高の気温になる可能性が98%あります。

出典:https://public.wmo.int/en/media/press-release/global-temperatures-set-reach-new-records-next-five-years

これは、、、

1.5℃目標を維持するために、世界は2030年までに2010年比で二酸化炭素排出量を45%、(2050年ごろに実質ゼロまで削減)という目標であったはずですが、それよりも速いペースで温暖化が進んでいる兆候があるということになります。
(※1.5℃を永久に超えるとは書かれていません。)

1.5°C上昇したからといっていきなり世界が破滅、ということではないと思いますが、海面上昇や異常気象といったイレギュラーが加速する可能性があります。

沸騰したということは、その先には蒸発が待っているわけで、、、
本当に待ったなし、の状況です。

さて、このような状況を踏まえると、
今後、ますます断熱性能空調計画が大事になってくるのです。
これは、最初に設計者とよく話し合って決めるべき大事なポイントです。

断熱性能の設定によって、

・工事費
・家の妥当な規模設定
・間取り(プランニング)
・住まい方(ライフスタイル)
・維持コスト(電気代等)

などが大きく変わります。
いずれも、生活の自由度を左右するものばかりです。
だからこそ、断熱性について、その意義を知っていただきたいなと思います。
「沸騰化時代」とあらば、なおさらです。

次回は、断熱性能の設定と空調設計の関係から、
「地球沸騰化時代の家づくり」について詳しく見ていきます。

日本の夏の住宅に対する考え方の経緯を踏まえつつ、断熱性能と空調設計の関係をもとに「家の温熱負荷計算」について詳しく見ていきます。